今回は、『手術看護1UP(はら カトリーナ いそこ著)』のレビューを行います。
この書籍は、実際のオペ看である著者が自身の経験をもとに、手術看護の基礎を解説してくれています。
かわいいイラストと会話でストーリーが展開されているので、新人看護師や看護学生でも分かりやすい内容になっています。
それでいて内容はとても充実しています。
まさにオペ看の入門書と言える参考書です。
まだ読んだことがないという人は、ぜひ一度、手に取ってみて欲しいです。
①初学者向け
新人看護師や看護学生など、これから手術看護を学んでいこうという方向けの内容になっています。
難しい専門用語などもしっかり解説しながらストーリーが進んでいくので、医療書籍の中でも入門書としてぴったりな一冊になっています。
また、本当のオペ看さんが書かれていることもあり、新人看護師が悩むポイント、結局どうしたらいいの?と疑問に感じやすいポイントにも焦点が当てられています。
たとえば…
手術のときは心電図モニターなどを装着します。
しかし、胸部や肩、腹部の手術では「どこに貼ったらいいの?」という疑問がわきますよね。
実際の現場では臨機応変に対応することになるのですが、この書籍はそれぞれのケースに合わせて「ここに貼ると良いですよ」という例が示されています。
実際に経験したからこそ、みんなにも伝えたいという筆者の思いが詰まっています。
②外回り・器械出しの解説
多くの施設では器械出しから覚えていくことが多いと思います。
しかし、すぐに同時並行で外回り業務も担当するようになったり、器械出しをしながらも外回りNsの補助を行うようになってきます。
この書籍では、外回りと器械出し、両方の看護について解説されています。
手術室看護師としてレベルアップするためにも、自分の仕事だけでなく手術室で行われていることの全体像を把握しておくことは重要です。
手術看護の全体像をつかんだうえで、さらに勉強したいという部分が見つかってから、より専門的な医学書籍に手を出すことをおすすめします。
また、この書籍は実習などを控えている看護学生にもおすすめです。
何も分からずに手術を担当するよりも、事前の知識があることで見えてくるものがあるはずです。
③根拠とあわせて
実習でも実際の現場でも、先輩から「どうしてそうするの?」と根拠を質問されることは日常茶飯事。
事前に勉強していたのに結局答えられずに怒られた…という人も少なくないはず。
書籍の中では、手術室での場面にあわせた看護師の動きを解説しつつ、しっかりその根拠にも触れられています。
参考書選びのポイント
- 根拠が明示されているか
- 自分の施設の状況に適しているか
「こういう時は〇〇しましょう」といったマニュアルは、何をすればいいかは明白です。
しかし、どうしてそうするのかという根拠が書かれていないと、自分の施設で応用したりイレギュラーに対応する際にはやや不安が残ります。
自分が大変な状況に陥ったときを想像して、その時にこの本の内容を思い出せば自分を助けてくれそうか、ということを考えながら自分に合ったものを探しましょう。
手術室では、緊急対応や予期せぬアクシデントもあり、その場に合わせた臨機応変な対応も身に着けていかねばなりません。
毎日が、いつも通りということは稀です。
そんな臨機応変さを持った看護師を育てるためにも先輩Nsは根拠を大切にしています。
根拠が分かっていれば、「この対応は大丈夫」「その対応だとマズい」という判断を自信をもって行えるようになるのです。
④モニターの正常・異常
手術室では、心電図・SpO2・血圧・カプノメーターなど様々なモニタリングを行っています。
多くの施設では、まずそれらの正常・異常を覚えてくるように指導されるはずです。
ここでやってしまいがちな勉強があります。
それは正常と異常の波形だけを覚えてくること。
この知識だけでは、手術に向けて十分に準備したとは言えません。
オペ看として働くからには、異常な波形が出たら何が疑われるか、自分はどう動けばいいかということまで準備して一人前と言えます。
とは言っても、最初から完璧に準備できる人なんていません。
先輩からの助言や参考書に書いてあったことを少しずつ吸収していければ大丈夫です。
そのためにも、この本ならちょっとずつ勉強していけそう、と思える一冊を探してください。
⑤緊急時の対応
上記でも何度か触れましたが、手術室では様々な緊急事態が予測されます。
そのときはいつ訪れるか分かりません。
もしかしたら、初めて少人数での夜勤や当直を担当した日かもしれません。
いつでも誰かが助けてくれて、誰かが教えてくれるわけではないので、イレギュラーな部分にも目を向けて積極的に学んでおくことを私は推奨します。
たとえば…
【手術中にSpO2が低下】
よくあるケースは、指に付けたモニターが外れてしまっていて波形がそもそも出ていない場合です。この時は、モニター装着部位を確認して正常な波形が出れば問題ありません。
一方で、緊急を要する場合もあります。それは肺塞栓症などが疑われる場合です。これは手術を受けるリスクとして挙げられるものです。
この選択肢が頭にあるかないか、そしてその対応を知っているかどうかで看護師の動きは大きく違ってきます。
ぜひ、みなさんも経験を積んで、ドラマで見るようなかっこいいオペ看を目指してください!
⑥麻酔について
一口に「麻酔」と言っても、手術や状況に合わせて種類が分かれています。
それぞれがどういう麻酔でどんな薬を使うのかという知識もオペ看にとって必要です。
そうでないと、副作用や術後合併症が出た時にどういう対応をすれがいいのかを考えるのが難しくなってきてしまいます。
すべては、患者さんが安全に手術を受けられるようにするためです。
まとめ
今回紹介した、『手術看護1UP(はら カトリーナ いそこ著)』はオペ看の入門書として相応しい一冊です。
ここから、多くの人が手術看護に興味を深めていってくれることを願っています。
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